CNTを宇宙材料に

軽くて強いCNTは、ロケットや軌道衛星などの素材として利用できるのか?
宇宙空間で利用されている素材のほとんどは金属です。これまで炭素材料が使用された実績はほとんどありません。そこで、将来の宇宙利用を目指し、CNTを国際宇宙ステーション(ISS)に搭載し、耐久性を調査する研究を大林組と共同で実施しました。

宇宙空間の環境はとても過酷です。地球のように大気に包まれていないので、太陽光が直接あたる面は非常に高温になる反面、影となる部分はマイナス200℃以下にもなります。さらには、強い紫外線照射や宇宙塵などの衝突もあります。CNTはそのような環境下で長期間使用した場合どうなってしまうのか?

2年間、ISS船外の宇宙曝露窓に取り付けて地球の周りを回り続けるというミッションを実施しました。その後、地球にCNTを回収し、どのような変化があったのかを調べました。

ISS 簡易曝露実験装置(ExHAM)にCNTを取り付けて宇宙を移動している様子

CNTにダメージ
回収したCNTを電子顕微鏡で観察したところ、CNT表面に無数のキズが入っていることがわかりました。分析の結果、ISSが周回している地上400km上空に希薄に残っている酸素原子が原因であるとわかりました。ISSは秒速9kmという高速で移動しています。酸素原子は軽量ですが、CNTがものすごい速さで酸素原子に衝突していくため相対的な運動エネルギーは大きくなり、CNTがえぐりとられていました。

CNTを宇宙で使うには
では、CNTを宇宙空間で使用するにはどうしたら良いのか?まず、ISSの周回軌道より上空で使用する場合は、酸素原子の影響が少なく問題はないと思われます。一方、酸素原子が残存するような低軌道で使用するには、CNTが直接曝露された状況ではダメージがあるため、表面を耐久性のある別の素材で被覆する必要があると思われます。

発表論文

Survivability of carbon nanotubes in space
Yoji Ishikawa, Yasuhiro Fuchita, Takashi Hitomi, Yoku Inoue, Motoyuki Karita, Kohei Hayashi, Takayuki Nakano, Naoko Baba
Acta Astronautica 165, 129-138 (2019)
DOI: 10.1016/j.actaastro.2019.07.024

株式会社大林組の技術紹介

カーボンナノチューブの宇宙環境曝露実験 (大林組技術研究所報)

2050年、宇宙エレベーター建設構想
https://www.obayashi.co.jp/technofair2016/04sustainable/04_05.html

宇宙エレベーター建設構想
https://www.obayashi.co.jp/kikan_obayashi/detail/kikan_53_idea.html

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