CNT紡績とは

CNTの紡績現象 Dry spinning
 「CNT紡績」とは、基板上に垂直に配向成長したCNTアレイから水平方向にCNTが次々と引き出される現象であり乾式紡績(ドライスピニング)と呼ばれます。このプロセスにより、基板上に三次元的に成長しているCNTが二次元ネットワークを形成したCNTウェブという結合体に変換されます。この形態変化は、蚕の繭から糸を紡ぎだす動作と似ています。ただし、CNT同士は強いファンデルワールス力で結合されているため、従来の紡績とは異なりCNTウェブは撚りを加えなくとも紡績可能です。さらには、積層してシートを形成することもできます。

Dry spinning
CNTウェブを紡績している様子。(a)基板から垂直に立っているCNT (b)ピンセットでつまみだせる (c)CNTアレイからウェブが出ている (d)ウェブ中でCNTはきれいに配列している

 CNTアレイの紡績性能は大変高いため、ウェブを引き出すにはピンセットなどでつまみ出すだけでOKです。特殊なツールは必要ありません。走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると、立体的(三次元)なアレイが平面的(二次元)なウェブに移り変わる様子がわかります(図(c))。引き出されたCNTバンドル(束)が隣のバンドルを引き出し、その現象が連続してウェブが形成されます。ウェブ紡績は基板上のCNTが無くなるまで続き、本質的には終わりのない現象です。CNTおよびそのバンドルは引き出された方向に良く配列しています(図(d))。この自己配列現象はCNTが本来の特徴として持ち合わせているものであり、従来のバッキーペーパーと呼ばれるCNTシートの作製方法と比較して飛躍的に単純で容易な方法である。また高度な配向性を有しており、このウェブ技術は今後CNTを産業に応用する上で一つのキー技術になると考えられます。