静岡大学 井上研究室

CNTで指の動きを検知する

ヤマハ株式会社と共同で、 大きく伸び縮みして動きを検知するやわらかいセンサーを開発しました。 一方向に配列させたCNTシートをウレタン樹脂で挟み込んだ複合材料をセンシングに使用しています。 センサ部の弾性率は5 MPa以下と人の肌より柔らかく、厚みは0.2 mm以下ととても薄いので、衣服などに取り付けて使用してもなじみが良く違和感を感じない軟らかいゴム状物質です。

センサーの利用方法
CNTウレタン複合ゴムは、伸ばすと電気抵抗が大きくなります。形が変わるものに取り付けて使用します。変形した時の抵抗の変化を測定して、どの程度変形したのかをセンシングします。

伸縮動作を複数回繰り替えした際の典型的な抵抗ひずみ特性
もとの長さの2倍の長さまで伸ばすことができます。ひずみ量(変形量)と抵抗値の関係には良好な(直線)関係があり、ヒステリシスも小さいのが特徴です。センサ感度は抵抗変化率をひずみで除したゲージファクター(GF)と呼ばれる量で表されます。このセンサーのGFは10以上であり、一般的な金属ひずみゲージと比較して高感度です。

高速応答性(ハイレスポンス)
ひずみに対する抵抗変化の動的特性も良好です。29 Hzで伸縮させた場合も歪に対する抵抗変化遅れはありません。従来、樹脂に導電性フィラーを分散した系による抵抗変化型センサでは、収縮時の迅速な抵抗復帰が困難でした。本センサーは、比較的直径の大きい剛直なCNTをウレタン樹脂層に挟み、制限された領域内で動的に電気接触を変化させることで、このような高い線形性と応答性を実現しています。

データグローブ
5本の指の関節部にひずみセンサーを取り付け、指の動きを検知します。Bluetoothなどの無線通信でリアルタイムでデータを取得します。これまでは体の動きを検知するモーションキャプチャーなどの手法がありますが、指の動きは複雑なため、データグローブで正確に測定可能になりました。

発表論文

Rapid-response, widely stretchable sensor of aligned MWCNT/elastomer composites for human motion detection
Katsunori Suzuki, Koji Yataka, Yasuro Okumiya, Shingo Sakakibara, Keisuke Sako, Hidenori Mimura, and Yoku Inoue
ACS Sensors 1, pp.817-825 (2016).
doi:10.1021/acssensors.6b00145

ヤマハ株式会社の技術紹介

伸縮センサー技術照会ページ
https://research.yamaha.com/ja/technologies/gummistra/

ストレッチャブルセンサー応用例
https://www.youtube.com/watch?v=rmnUSCG2UiI