論文「CNT成長に伴う密度減衰がCNTフォレストのマクロ電気伝導率に及ぼす影響」Carbonに採択

論文「CNT成長に伴う密度減衰がCNTフォレストのマクロ電気伝導率に及ぼす影響」Carbonに採択

西田君が修士研究で取り組んできたCNTを金属基板上に超高密度に合成する方法と、その動的に変化する電気伝導率の予測モデルに関する研究が論文誌「Carbon」に採択されました。

金属上へのCNT合成は技術的に難しく、これまで長尺で高密度なCNTフォレスト形成は達成されていませんでした。本研究では、銅やステンレスの金属原子が750℃でCNT成長の鉄触媒ナノ粒子と合金化することを抑制するため、新たにブロック層としてSiO2とTaを触媒層の下地に挿入することを考案しました。ブロック層導入により、従来のSi基板と同様に銅やステンレスにも超高密度なCNTフォレストを合成することが可能になりました。

金属上の高密度CNTの電気抵抗率を測定したところ、長く成長するほど抵抗率が高くなることを見出しました。そこで、CNT成長と共に触媒失活に起因して生じる密度減衰モデルをもとに、CNTフォレストのマクロな電気抵抗率予測モデルを構築しました。その結果、CNTフォレストの電気伝導特性は、CNTの根元密度に大きく制限を受けることが明らかとなりました。

金属板上のCNTフォレストは、燃料電池やスーパーキャパシタなどのエネルギー貯蔵デバイスの電極材料として活用できるため、本研究で提案した超高密度金属上CNT合成技術や電気抵抗率予測モデルはそれらのデバイス設計に寄与する研究成果と言えます、

Impact of dynamic density decay of growing carbon nanotube forests on electrical resistivity
Kazuki Nishita, Takayuki Nakano, Yasuhiro Shimizu, Masaki Nagata, Sota Yanai, Nobuaki Shirai, Terumasa Omatsu, Yoku Inoue
Carbon 218, 118749 (2024)
DOI: 10.1016/j.carbon.2023.118749
2024年2月15日まではどなたでも無料で論文をダウンロードできます。(下記リンクより)
https://authors.elsevier.com/a/1iKBe1zUAW0cQ

銅、ステンレス、Si上への高密度CNT合成の様子